今から35年以上前、ロレックスの腕時計を分解した中学生の男の子がいた。中学入学祝いに送られた、ごっつい金色の腕時計。彼には自信があった。精密機械をバラバラにして元に戻すのが特技だと自負していた。なぜなら家にあったセイコーの目覚まし時計もちゃんと元通りにできたからだ。中学に上がったばかりの子どもに「ロレックス」の価値など分かろうはずもない。宇宙戦艦ヤマトのプラモデルと同格程度に思っているのだ。外側のパーツからどんどん外していく。目覚まし時計には無かったミリ単位の金属が何十個も出てきた。それらを全て分解し、外した順番に整然と並べ切った。緊張感がとけ満足感で一杯になった。さあ、これから完璧に組み立てる…はずだった……。大人になった彼は今、自分の娘のためにアジの開きから完璧に小骨を外してあげている。