NPO法人医療制度研究会の理事長である中滓堅次・済生会宇都宮病院長は、「米国の場合、病院はICUのように超急性期に特化し、それ以外は慢性期や亜急性期の特性をもつナーシングホームに移行する。米国では急性期病床だけをカウントしているため、急性期から慢性期までの病床総数に日米格差はない」と指摘している。それゆえ、日本の看護師不足を考える時に、病床数をベースに国際比較することは誤解を招く。現在、日看協は「5対1」の看護配置基準の引き上げを求めているが、日本医師会、各労働組合、病院経営者はこぞって反対の意を表している。06年に新設された「7対1」の影響は依然として大きく、看護師が大病院に集中し、院内では「7対1」基準を満たすために看護師が病棟に引きあげられたためだ。済生会栗橋病院は「看護師配置による点数アップがつかない救急やオペ室、外来にしわ寄せがきている。この制度変更1点を見ただけでも、看護師不足の現場を知らない人間が保険点数を決めていることがわかる。看護師不足や人材流動化のリスクを考えずに、さらに看護の質向上として『5対1』基準などへの引き上げを図ることは、医療現場をさらに混乱させる」と警鐘を鳴らす。少なくとも、看護必要度が精査され、どのような実態かデータが示されないうちは、配置基準を変更すれば現場が混乱するだけだ。
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