日本では、古来、太陽の恵みを享受して生活を送ってきました。しかし、現代の都市はますます過密化し、土地の高度利用のため、高いビル、マンションなどが増加し、日照権問題は深刻化しています。建物を建てる側は自分の土地を法令の制限内で、かつ、権利の濫用にならない範囲内で有効に利用する権利をもっています。隣地も最低限の日照を享受する権利をもっています。そこで、争いの起こったとき、裁判所は、その日照阻害が受忍限度を超えるかどうかということを基準として判決を下しています。そして、この受忍限度というのは、(1)日照阻害がどの程度になるか(2)その地域の用途が何か。周辺の現実の利用状態がどうなっているか(3)建物の高さと面積(4)だれが先に住んで、どういう生活を送っていたか(5)建物の設計変更をして被害を少なくできないかなどを総合的に考慮して、どうにも我慢できないかどうかということで判断しています。この場合に、その建物が違反建築かどうかということは、判断基準の中で、大きなウエートを占めますが、違反していなければ、それだけで建築主の主張が認められるというものではありませんし、違反していれば必ず建築主が負けるというものでもありません。もっとも、その建物が違反建築であれば、市町村長などの特定行政庁は是正命令を出し、建築主がこの命令に従わないときは、行政代執行法にもとづく代執行をして建物を除去することができるようになっていますが、現実にこのようにして除去された例はあまり多くありません。そして、これは建築行政の一環として行なっているもので、特定行政庁が強制執行しないからといって、隣地の人が、それを請求する法律上の当然の権利ではありません。